SSブログ

シュトラハヴィッツ機甲戦闘団 -“泥まみれの虎”の戦場写真集- [パンツァー]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

マイケル・H. プルット著の「シュトラハヴィッツ機甲戦闘団」を読破しました。

以前に紹介した「ティーガー戦車隊 -第502重戦車大隊オットー・カリウス回顧録-」で
中心とも言うべき戦役であった1944年春の「ナルヴァの戦い」の
新たに発見されたドイツ軍宣伝部隊によって撮られた、140枚を掲載した写真集です。

シュトラハヴィッツ機甲戦闘団.JPG

序文を書くのはオットー・カリウスで、この序文も2008年という新しいものです。
ただし、このようなカリウス・ファンをドキドキさせる出だしですが、
この白い夏の軍服に柏葉騎士十字章という有名なポートレート以外には一切出てきません。

個人的にはカリウスよりもシュトラハヴィッツ大佐に興味があったので、
彼の未見の写真がバンバン出てきたり、
就寝前の如何にも伯爵然としたシルクのパジャマ姿があったりして・・
という淡い期待がありましたが、こちらも残念ながらそれほどではありませんでした。

Graf Strachwitz GD.jpg

まずは1944年1月に包囲されていたレニングラードをソ連軍が突破を果たし、
その後、エストニアの古都、ナルヴァでの戦いとなっていく過程が簡単に解説されます。
そして、この1次~3次まで続く、いわゆる「シュトラハヴィッツ作戦」に参加した部隊、
「装甲擲弾兵師団"フェルトヘルンハレ"」、「総統警護大隊」、「第502重戦車大隊」が紹介されます。

本書はフェルトヘルンハレⅢ号突撃砲やⅣ号戦車、第502重戦車大隊のティーガーや
撃破されたソ連のSU-76自走砲なども随所に登場します。
「オットーの橋」と言われる、「ティーガー戦車隊」で書かれていた、
カリウス中隊が対戦車壕を超えるための丸太・・を
工兵の装甲トラックに大量に詰め込んでいる写真は、特に印象的でした。

Otto Carius _ Himmler.JPG

まぁ、しかしタイトル「シュトラハヴィッツ機甲戦闘団」のように、かなりマニアックな
写真集であることには変わりなく、一般向けというより、
やはりよほどの戦車マニアや軍装フェチのかた、またはモデラー向けの内容でしょうか。

第502重戦車大隊はカリウスの回想録でそれなりに知っていましたが、
残る2つの部隊、「装甲擲弾兵師団"フェルトヘルンハレ"」と「総統警護大隊」は
簡単に紹介されていますが、相変わらず、よくわからない部隊です・・。

「フェルトヘルンハレ」は、もともとエリート隊員で編成されたSA(突撃隊)連隊であり、
戦局の悪化後に、国防軍に編入されて第60自動車化歩兵師団「フェルトヘルンハレ」、
後に装甲擲弾兵師団「フェルトヘルンハレ」、
最終的には2個師団のフェルトヘルンハレ軍団となった・・
という話を聞いたことがありますが、あまり自信がありません。

SA-Mann of SA-Standarte Feldherrnhalle.jpg

総統警護大隊(Führer begleit battalion)は、総統護衛大隊とも訳されますが、
1930年代後半は、ロンメル大佐が指揮した部隊のようです。
歩兵連隊「 グロースドイッチュランド」と空軍の連隊「ゲネラルゲーリング」からの分遣隊により
編成後に、旅団から師団と拡大し、「バルジの戦い」などで、あのレーマーが率いることになります。

本書の説明でも「ヴォルフツシャンツェ」から派遣され、5月には帰還したと書かれており、
いわゆる映画「ワルキューレ」で爆弾を炸裂させ、車で逃走を図るシュタウフェンベルク
「通せません!」と言って、足止めを喰らわす軍曹?は「ナルヴァ帰り」なのかも知れませんね。

また1943年には総統擲弾兵大隊(Führer Grenadier Battalion)という別の部隊も編成され
こちらも「グロースドイッチュランド」から補充を受け、旅団から師団となったようです。
イメージ的には「グロースドイッチュランド」の分遣隊のようですね。

Führer-Begleit-Division.jpg

この2つの部隊は大隊と旅団規模のときは"FBB"と"FGB"と略して書かれ、
師団となると"FBD"、"FGD"と書かれているみたいですが、いずれにせよ、
和訳も含め、実にややこしくて大変です。。。

さらにはラッテンフーバーを中心とした警護部隊RSD(Reichssicherheitsdienst) や
SSのFührerbegleitkommandoもあるので、調べれば、調べるほど混乱してきます。
まぁ、こちらは前身と前線勤務は「ライプシュタンダルテ」のようですが・・。
こういうのが整理された本があると、とても助かるんですがね。。

ふと思いましたが、国防軍防諜部の直轄のような特殊部隊で知られる「ブランデンブルク」も
カナリス提督の失脚に伴うSDへの吸収によって、
スコルツェニー率いるSS特殊部隊に移管されていったなどという話もあり、
スパイの要素や特殊任務、ドイツらしからぬ洒落た「部隊マーク」もセンスがあり、
ヒトラー暗殺未遂にまつわる解体と再編成というドラマティックさからも
「ブランデンブルク装甲擲弾兵師団史」なんか発売されても良いんじゃないかと思うんですけどねぇ。

Division Brandenburg 1943-1944 Fallschirm-Jäger-Bataillon „Brandenburg“.JPG

それが無理でも武装SS師団史があるように、国防軍のこのような「番号」以外の師団を集めた
(終戦間際のやっつけ的な師団のクルマルクとかミュンヘベルクは別にしても)
「ヒトラーの秘密部隊」とかいうタイトルの本が一冊あっても面白いんじゃないでしょうか?

なにか話の方向がズレていってしまいました・・。
ちなみに本書の帯には「泥まみれの虎の続編?!」とデカデカと書かれていますが、
「泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート 」はいまだ未読につき、その真相は不明です。



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