グリーン・ビーチ -ディエップ奇襲作戦- [英国]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
ジェイムス・リーソー 著の「グリーン・ビーチ」を読破しました。
パウル・カレルの「捕虜」で、クレッチマー対カナダ人看守との束縛戦争の発端となった
「ディエップ奇襲作戦」が気になり、いろいろ調べてみると
本書に辿り着きました。いやいや、あるもんですねぇ。
「独破する」のももちろん楽しいですが、このように探して、見つけて、買ってという
一連の流れは、たまにそれだけで満足してしまったりすることもあります。
本書はこのディエップの戦い、別名「ジュビリー作戦」をまるで冒険小説のように描いたもので、
原書は1975年の発刊です。

まず、自分もあまり知らなかったこの連合軍によるフランス上陸作戦とはなんだったのか?
ということから丁寧に紹介してくれます。
チャーチルにより連合作戦本部の長官に任命されたマウントバッテン卿を中心に
スターリン/モロトフから要請されている第二戦線の研究が行われます。
しかし、この1941年~42年当時は、西側連合軍の戦力は物資、人員ともに低く、
とても正面からの大規模攻撃は行えないという結論に達します。
そこで来るべき、大侵攻に向けた予行演習の意味も込めて、
6時間限定という、小規模な「奇襲作戦」を実施することになります。

目標は16ヶ所。飛行場や石油貯蔵施設の爆破、ドイツ軍司令部などからの機密文書の奪取、
刑務所に捕えられているフランス人の囚人解放など・・。
そのなかに本書の標的となるプールヴィル郊外のフライヤ・レーダー基地が含まれます。
そのドイツ軍のレーダーの性能を探るため、このレーダー基地に潜入し、部品を持ち帰る
という特殊作戦のために、英国空軍のレーダー専門家、ジャックが選ばれます。
早速、彼はワイト島で訓練中のカナダ軍「南サスカチュワン連隊」へと合流し、
この特殊作戦で行動を共にし、彼を保護することにもなる10名と顔を合わせます。
しかし、ジャックは彼らの名前を覚えることも拒否し、各人に仇名をつけ、
自らの素性も明かしません。
これは主人公のジャックが偏屈な変わり者というわけではなく、
彼が英国のレーダー専門家であるがゆえ、ドイツ軍捕虜となることが許されない・・、
即ち、絶体絶命の際には、降伏することが出来ず、彼を保護するカナダ兵が彼の命を奪う
という任務があることを知っているからです。

そして1942年8月19日、いよいよ「ジュビリー作戦」が発動されます。
5000名のカナダ兵に1000名の英米兵という陣容は、1940年、英国本土へのドイツ軍侵攻を
懸念し、それに備えて英国で準備と訓練に2年間も明け暮れていたカナダ軍に
大きな仕事を与えようということも理由の一つです。

主人公たちが目指すレーダー基地のあるプールヴィルの浜は、暗号名「グリーン・ビーチ」。
本書のタイトルはこのような意味があるわけですが、その他の上陸地点も
ブルー、レッド、ホワイトの各ビーチです。
ノルマンディ上陸で言うところの「オマハ・ビーチ」なんかと一緒ですね。
しかし、潮に流されて予定から離れた地点に上陸してしまった彼らは、
ただでさえ、鉄条網を張り巡らされ、防御の行き届いたレーダー基地に到達する前に
街中をドイツ軍の反撃に遭いながらも突破しなければならないという状況に・・。

対するドイツ軍はと言うと、連絡を受けた西部方面軍司令官のルントシュテット元帥を筆頭に
ハーゼ将軍の第15軍、東部戦線で消耗し、休養中のフィッシャー将軍の第10装甲師団、
そして、同じく休養中のゼップ・ディートリッヒ率いる、武装SS"ライプシュタンダルテ"です。

ベスト・コンディションではないとは言え、このような名だたる装甲部隊にも
出動命令が出されますが、肝心のディエップ周辺の地図が無いことで大騒ぎに・・・。
それでも、これらのドイツ戦車軍団がわざわざ出る幕もなく、
上陸部隊はドイツ守備隊の前に甚大な損害を受け、主人公も敗走のなかで
若いドイツ兵を捕虜にし、しっかりとその両手を「束縛」します。。。

結局は主人公の活躍も含め、作戦はほとんど失敗し、せっかくのチャーチル戦車も
ほとんどが砂浜で立ち往生している始末・・。
多くが戦死、または捕虜となり、無事、帰還を果たした者は約2500名という惨敗で、
これがこの作戦がそれほど有名にならなかった理由に感じました。

最初にも書きましたが、本書は主人公のジャックと彼を守るカナダ兵たちとの
必然的な友情など冒険小説的な色合いが強く、
この「ディエップ奇襲作戦」が総括的に検証されたものではありません。

それでもドイツ兵に追い詰められたジャックたちの目の前を、
なにも気が付かないフリしてゆっくりと横断し、ドイツ兵が発砲を控えたその一瞬の隙に
脱出するよう目で合図するフランス人のおじいちゃんなど
地味ながら印象深いシーンもいくつかありました。
ジェイムス・リーソー 著の「グリーン・ビーチ」を読破しました。
パウル・カレルの「捕虜」で、クレッチマー対カナダ人看守との束縛戦争の発端となった
「ディエップ奇襲作戦」が気になり、いろいろ調べてみると
本書に辿り着きました。いやいや、あるもんですねぇ。
「独破する」のももちろん楽しいですが、このように探して、見つけて、買ってという
一連の流れは、たまにそれだけで満足してしまったりすることもあります。
本書はこのディエップの戦い、別名「ジュビリー作戦」をまるで冒険小説のように描いたもので、
原書は1975年の発刊です。
まず、自分もあまり知らなかったこの連合軍によるフランス上陸作戦とはなんだったのか?
ということから丁寧に紹介してくれます。
チャーチルにより連合作戦本部の長官に任命されたマウントバッテン卿を中心に
スターリン/モロトフから要請されている第二戦線の研究が行われます。
しかし、この1941年~42年当時は、西側連合軍の戦力は物資、人員ともに低く、
とても正面からの大規模攻撃は行えないという結論に達します。
そこで来るべき、大侵攻に向けた予行演習の意味も込めて、
6時間限定という、小規模な「奇襲作戦」を実施することになります。

目標は16ヶ所。飛行場や石油貯蔵施設の爆破、ドイツ軍司令部などからの機密文書の奪取、
刑務所に捕えられているフランス人の囚人解放など・・。
そのなかに本書の標的となるプールヴィル郊外のフライヤ・レーダー基地が含まれます。
そのドイツ軍のレーダーの性能を探るため、このレーダー基地に潜入し、部品を持ち帰る
という特殊作戦のために、英国空軍のレーダー専門家、ジャックが選ばれます。
早速、彼はワイト島で訓練中のカナダ軍「南サスカチュワン連隊」へと合流し、
この特殊作戦で行動を共にし、彼を保護することにもなる10名と顔を合わせます。
しかし、ジャックは彼らの名前を覚えることも拒否し、各人に仇名をつけ、
自らの素性も明かしません。
これは主人公のジャックが偏屈な変わり者というわけではなく、
彼が英国のレーダー専門家であるがゆえ、ドイツ軍捕虜となることが許されない・・、
即ち、絶体絶命の際には、降伏することが出来ず、彼を保護するカナダ兵が彼の命を奪う
という任務があることを知っているからです。

そして1942年8月19日、いよいよ「ジュビリー作戦」が発動されます。
5000名のカナダ兵に1000名の英米兵という陣容は、1940年、英国本土へのドイツ軍侵攻を
懸念し、それに備えて英国で準備と訓練に2年間も明け暮れていたカナダ軍に
大きな仕事を与えようということも理由の一つです。

主人公たちが目指すレーダー基地のあるプールヴィルの浜は、暗号名「グリーン・ビーチ」。
本書のタイトルはこのような意味があるわけですが、その他の上陸地点も
ブルー、レッド、ホワイトの各ビーチです。
ノルマンディ上陸で言うところの「オマハ・ビーチ」なんかと一緒ですね。
しかし、潮に流されて予定から離れた地点に上陸してしまった彼らは、
ただでさえ、鉄条網を張り巡らされ、防御の行き届いたレーダー基地に到達する前に
街中をドイツ軍の反撃に遭いながらも突破しなければならないという状況に・・。

対するドイツ軍はと言うと、連絡を受けた西部方面軍司令官のルントシュテット元帥を筆頭に
ハーゼ将軍の第15軍、東部戦線で消耗し、休養中のフィッシャー将軍の第10装甲師団、
そして、同じく休養中のゼップ・ディートリッヒ率いる、武装SS"ライプシュタンダルテ"です。

ベスト・コンディションではないとは言え、このような名だたる装甲部隊にも
出動命令が出されますが、肝心のディエップ周辺の地図が無いことで大騒ぎに・・・。
それでも、これらのドイツ戦車軍団がわざわざ出る幕もなく、
上陸部隊はドイツ守備隊の前に甚大な損害を受け、主人公も敗走のなかで
若いドイツ兵を捕虜にし、しっかりとその両手を「束縛」します。。。

結局は主人公の活躍も含め、作戦はほとんど失敗し、せっかくのチャーチル戦車も
ほとんどが砂浜で立ち往生している始末・・。
多くが戦死、または捕虜となり、無事、帰還を果たした者は約2500名という惨敗で、
これがこの作戦がそれほど有名にならなかった理由に感じました。

最初にも書きましたが、本書は主人公のジャックと彼を守るカナダ兵たちとの
必然的な友情など冒険小説的な色合いが強く、
この「ディエップ奇襲作戦」が総括的に検証されたものではありません。

それでもドイツ兵に追い詰められたジャックたちの目の前を、
なにも気が付かないフリしてゆっくりと横断し、ドイツ兵が発砲を控えたその一瞬の隙に
脱出するよう目で合図するフランス人のおじいちゃんなど
地味ながら印象深いシーンもいくつかありました。
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