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エヴァ・ブラウンの日記 -ヒトラーとの8年の記録- [ジョーク本]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

アラン・F. バートレット著の「エヴァ・ブラウンの日記」を読破しました。

世間一般的にはインチキな「トンデモ本」と云われている一冊です。
噂ではヒトラーの性的な問題が書かれていたり、ナチ党高官のスキャンダラスな
話が盛りだくさん・・ということで、本来、そういうネタにあまり興味がないんですが、
まぁ、安く売っていたので、どの程度のインチキっぷりなのかを
確認する意味でも今回、あえて読破してみました。

エヴァ・ブラウンの日記.JPG

序文では、この日記がエヴァ・ブラウンのものに間違いないという(やや悲しい)根拠を
著者がいくつか挙げています。
ちなみに、この学研が発刊した日本版でも、訳者あとがきを含めて
その信憑性には逃げ腰になっている印象です。。。

続いて、「日記」の前にヒトラーの過去の数々の女性関係が解説されます。
姪のゲリ・ラウバルから始まり、英国女性のユニティ・ミトフォード
女優で映画監督のレニ・リーフェンシュタールまで・・。

LeniWithAdolf.jpg

75頁からやっと「日記」の全貌が明らかになります。
1937年から始まる日記は、まずは「H」ことヒムラーに呼ばれた話からですが
多くは食事会などでの高官たちの話題・・・例えば
リッベントロップゲッベルスゲーリング、シュトライヒャー、シーラッハといった面々に
彼らの伴侶との女性同士のライバル争いも書かれています。
云われていたようなスキャンダラスなシーンはあまりありません。

Abendgesellschaft auf dem Berghof.jpg

1938年には後の国家保安本部(RSHA)長官となるカルテンブルンナー
ポーランドの絶滅収容所を監督したグロボクニク
残虐な若手の有望株として紹介されるのは面白かったですね。
また、いつもヒトラーに逃げられてばかりの海軍のレーダー元帥
怒りを爆発させているシーンも楽しめます。

Otilo Globocnik and Friedrich Rainer in Vienna, 1938.jpg

イタリア外相のチアーノはマナー知らずの男として嫌われているものの、
彼の奥さん対してはヒトラーも素晴らしい・・と。
確かチアーノの奥さんはイタリアが寝返ったおかげで、結構苦労したような気が・・。
彼女の人生には興味がありますねぇ。

CianoeEdda.jpg

ヒトラーとの夜の生活もさらりと触れられ、その際のヒトラーの趣味や
ムッとすると口を利かなくなるという性格も紹介。
副総裁ルドルフ・ヘスとヒトラーのあまりの親密さをエヴァが疑う場面も出てきます。

hess_27_mit_hitler.jpg

そしてヒトラーのXXチンがいわゆる完全な「反ユダヤ主義」であり、
手術が必要であった"らしい"ことやエヴァが妊娠し、
密かに出産していた"らしい"記述も出てきます。

エヴァが告白した浮気相手をヒトラー自ら射殺し、その家族も全員強制収容所送り、
同行したSS隊員も最前線送りというシーンや
エヴァとドライブ中のヒトラーが暗殺者に襲われ、軽やかな身のこなしで見事返り討ちに・・。
さすが、かつての一級鉄十字章はダテではない・・というアクション・シーンまで登場。。。

Eva Braun _ Hitler.jpg

正直読み終えた感想としては、完全なゴーストライターによるもの
という根拠は見つかりません。
かと言って間違いなくエヴァが書いたものだとも思えません。

だいたい人を騙す方法というのは真実の中にウソを織り込むものだと思っていますので
(昔読んだスパイ小説の手口です。最初しばらくは、どうでも良い真実を語り、
相手が信用したところを見計らってウソ(ニセ情報)を提供する)、
本書も日記の日時や人物が正しいとされる(それもエヴァのものだとする根拠のひとつ)
ところが逆に死んだ2人しか知らない部分を怪しく感じさせます。

Eva Braun9.jpg

「独破戦線」的には特にオススメもしませんが、2~3時間で読めるので
興味のある方は話のネタに読むのも一興じゃないでしょうか。


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コメント 4

しゅり

こんにちは、ヴィトゲンシュタインさん。
この本、エヴァの目から通したナチ高官のプライベートなことを
書いている本・・・と認識していましたので
読みたいなーと思っていたのですが・・・・
トンデモ本なのですね(汗)。
なんとも言いようのない本・・・という雰囲気を感じ取りましたが
それがまた興味をそそったりして。
歴史とは本当に時間がたつほど、どんどんあいまいな部分も出てくるのでタイムマシンなんかで事実を確認したい!と
思うことがよくあります。
by しゅり (2010-08-04 11:17) 

ヴィトゲンシュタイン

しゅりさん。こんばんわ。
ちょっとブログにもお邪魔させていただきました。

>なんとも言いようのない本・・・という雰囲気

いや~、うれしいですねぇ。
本書のトンデモ本とか、インチキ本とかの判断は、読まれた方それぞれの判断で良いと思いましたので、書きっぷりがそのように伝わっていて、ちょっとホッとしました。。。

自分も結局は「興味をそそられ」て読破したので、暇つぶしや気分転換なら最適かも知れません。

タイムマシンがあったらジュラ紀や白亜紀に行って「恐竜の色」を確認したいというのが子供の頃からの願望です。
化石からは皮膚の色はわからないと教えられていて、だからといってワニやコモドオオトカゲみたいな灰色や図鑑で良く見る茶色じゃなく、南米やアフリカのオレンジやピンクの水玉模様の極彩色のトカゲみたいな、派手派手メジャー恐竜もいたんじゃないかって、今でも考えています!
by ヴィトゲンシュタイン (2010-08-04 21:24) 

IZM

今エヴァ・ブラウンで検索したら、この記事が4つ目くらいでしたよ。Ww
先日のシンドラーの時といい、ヴィトゲンシュタイン兄さんWwの敏腕ぶりが。
ところで、ドレスデンって、あの空襲跡の有名な瓦礫の山の写真のイメージがずっとあったのですが、今現在の写真を見てみたら、とっても綺麗な町なのですね!いつか行って見たいです!
by IZM (2010-12-19 05:12) 

ヴィトゲンシュタイン

おっと、ホントですか・・。「エヴァ・ブラウン」でこの記事が出てくるは嬉しいやら、恥ずかしいやら・・。なんせ、本の内容が微妙ですからねぇ。。

IZMさんはドレスデンのリサーチに入ったような感じですが、同じドイツでも住まわれているところ(北西?)から東のドレスデンまでは、だいぶ遠いんでしょうね。西部戦線から東部戦線に行く感じかなぁ?

自分もドイツの都市爆撃モノの本を以前から探してるんですが、これが全くと言っていいほどありません・・。
ちなみに2~3年前に観た、そのものズバリ「ドレスデン」というドイツ映画があって、なかなか印象的でした。確か、最近流行の第2次大戦手法という「現代~戦争~現代」と展開して、破壊された「聖母教会」の再建もテーマだったと思います(ひょっとしたらNHKのドキュとゴチャゴチャになっているかも・・)。
by ヴィトゲンシュタイン (2010-12-19 10:09) 

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