カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS〈1〉 [武装SS]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
高橋 慶史 著の「カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS〈1〉」を読破しました。
以前に紹介した「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」の武装SS版で、
1年ほど前に発売されたものです。
〈1〉と付いているように、著者曰く「武装SSの全師団の戦闘史を明らかにする・・
という無謀な企画」の第1巻に当たる本書では、
武装SS創設時の2つの師団と、武装SS騎兵3個師団が紹介されています。
まずはマイナー部隊の大好きな著者による、武装SSメジャー師団不動のNo.1、
「SS第1戦車師団 "ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー"」からです。
部隊の創設からゼップ・ディートリッヒの紹介、ポーランド戦役~ツィタデレ作戦までが
淡々と書かれ、新たな師団長テオドール・ヴィッシュも丁寧に紹介されます。
本書は未見のクリアーな写真が多く、掲載されているヴィッシュの写真も
映画「ゴッドファーザー」のロバート・デュヴァル演じるトム・ヘイゲンにそっくりです。
ヴィットマンやパイパー、マイヤーにクラースなどの有名人も登場しますが、
なんといっても、目を負傷したにもかかわらず、音を頼りにたった一人で拠点を死守し、
機関銃で英軍を撃退するという超人的な働きにより「騎士十字章」を受章した
エーリヒ・ゲーストルSS一等兵の話が最高です。
続いては勿論No.2、「SS第2戦車師団 "ダス・ライヒ"」です。
こちらもパウル・ハウサーから歴代の師団長を紹介し、
ハリコフ戦までをライプシュタンダルテと同様に説明しています。
しかし、この師団でもツィタデレ作戦時において、
直撃弾を受けて制御盤と変速機が壊れたのにもかかわらず、
神業的技術で30分以上も操縦を続けたことで、敵戦車7両を撃破したという
Ⅲ号戦車の操縦手、ヨハン・ターラーSS軍曹がやはり「騎士十字章」を受章したという
話が最高でした。
第2部では、マイナーなSS騎兵師団の登場です。しかし、ここからが著者の真骨頂であり、
その筆も冴えてくるのでとても勉強になりながらも楽しめました。
「SS第8騎兵師団 "フロリアン・ガイヤー"」では、その第三帝国における
騎兵の役割から、1931年までに遡る一般SSの騎兵大隊からが紹介され
主役を務めるのは、ミュンヘンのSS中央騎馬学校長のヘルマン・フェーゲラインSS少佐です。
彼の生い立ちから、1943年のフロリアン・ガイヤー師団長の就任。
そして、その後「SS騎兵総監」に就任するという、フェーゲライン一代記とともに
師団の戦闘史が綴られ、実弟のヴァルディマー・フェーゲラインも活躍して
見事、兄弟揃い踏みでの「騎士十字章」という稀有な例として書かれています。
「SS第22義勇騎兵師団 "マリア・テレジア"」は、「フロリアン・ガイヤー」の
弟師団ともいえる存在です。
しかし「義勇」という名が付くように、ドイツ人ではなく、ハンガリー人歩兵が多数を占める師団で、
師団長となったツェーエンダーSS大佐や師団初の「騎士十字章」を受章者、
アマイザーSS少佐など、将校は生粋のドイツ人騎兵から成っていたようです。
公式に編成されたのが終戦間際の1945年2月という「SS第37義勇騎兵師団 "リュッツォー"」
がトリを飾りますが、師団としてはほとんど活躍していません。
ここでも、あのカイテル元帥の子息、カール=ハインツ・カイテルSS少佐が連隊を率い、
「カイテル戦闘団」としてアメリカ軍に降伏するという初めて知る話が出てきました。
この騎兵師団の章では、ハンガリーのホルティ提督を狙ったスコルツェニーの
「パンツァーファウスト作戦」が出てきたり、
1945年2月までの「ブダペスト包囲陣」での過酷な防御戦、
そして最後の包囲突破によるドイツ軍の壊滅的な損害が印象的でした。
このブダペスト戦はあまり詳細を知らなかったので、なおさら楽しめました。
また、「マリア・テレジア」にまつわる話・・矢車菊の襟章や女帝マリア・テレジアの
末娘がマリー・アントワネットであるなど、ヨーロッパの歴史についても、
またまた勉強したくなるようなことまで、書かれています。
これはひょっとすると、ヒムラーの策略に見事に乗っかっているのかも知れませんね。。。
非常に楽しめる一冊で、4時間ほどで一気読みしてしまいました。
第2巻(第3、第6、第18、第25、第26、第30の各SS師団)が、なかなか発売されず、
「 ドイツ武装SS師団写真史〈1〉」が発売されてしまったのは気がかりですが、
このシリーズ、ぜひ、続けて欲しいですね。
高橋 慶史 著の「カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS〈1〉」を読破しました。
以前に紹介した「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」の武装SS版で、
1年ほど前に発売されたものです。
〈1〉と付いているように、著者曰く「武装SSの全師団の戦闘史を明らかにする・・
という無謀な企画」の第1巻に当たる本書では、
武装SS創設時の2つの師団と、武装SS騎兵3個師団が紹介されています。
まずはマイナー部隊の大好きな著者による、武装SSメジャー師団不動のNo.1、
「SS第1戦車師団 "ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー"」からです。
部隊の創設からゼップ・ディートリッヒの紹介、ポーランド戦役~ツィタデレ作戦までが
淡々と書かれ、新たな師団長テオドール・ヴィッシュも丁寧に紹介されます。
本書は未見のクリアーな写真が多く、掲載されているヴィッシュの写真も
映画「ゴッドファーザー」のロバート・デュヴァル演じるトム・ヘイゲンにそっくりです。
ヴィットマンやパイパー、マイヤーにクラースなどの有名人も登場しますが、
なんといっても、目を負傷したにもかかわらず、音を頼りにたった一人で拠点を死守し、
機関銃で英軍を撃退するという超人的な働きにより「騎士十字章」を受章した
エーリヒ・ゲーストルSS一等兵の話が最高です。
続いては勿論No.2、「SS第2戦車師団 "ダス・ライヒ"」です。
こちらもパウル・ハウサーから歴代の師団長を紹介し、
ハリコフ戦までをライプシュタンダルテと同様に説明しています。
しかし、この師団でもツィタデレ作戦時において、
直撃弾を受けて制御盤と変速機が壊れたのにもかかわらず、
神業的技術で30分以上も操縦を続けたことで、敵戦車7両を撃破したという
Ⅲ号戦車の操縦手、ヨハン・ターラーSS軍曹がやはり「騎士十字章」を受章したという
話が最高でした。
第2部では、マイナーなSS騎兵師団の登場です。しかし、ここからが著者の真骨頂であり、
その筆も冴えてくるのでとても勉強になりながらも楽しめました。
「SS第8騎兵師団 "フロリアン・ガイヤー"」では、その第三帝国における
騎兵の役割から、1931年までに遡る一般SSの騎兵大隊からが紹介され
主役を務めるのは、ミュンヘンのSS中央騎馬学校長のヘルマン・フェーゲラインSS少佐です。
彼の生い立ちから、1943年のフロリアン・ガイヤー師団長の就任。
そして、その後「SS騎兵総監」に就任するという、フェーゲライン一代記とともに
師団の戦闘史が綴られ、実弟のヴァルディマー・フェーゲラインも活躍して
見事、兄弟揃い踏みでの「騎士十字章」という稀有な例として書かれています。
「SS第22義勇騎兵師団 "マリア・テレジア"」は、「フロリアン・ガイヤー」の
弟師団ともいえる存在です。
しかし「義勇」という名が付くように、ドイツ人ではなく、ハンガリー人歩兵が多数を占める師団で、
師団長となったツェーエンダーSS大佐や師団初の「騎士十字章」を受章者、
アマイザーSS少佐など、将校は生粋のドイツ人騎兵から成っていたようです。
公式に編成されたのが終戦間際の1945年2月という「SS第37義勇騎兵師団 "リュッツォー"」
がトリを飾りますが、師団としてはほとんど活躍していません。
ここでも、あのカイテル元帥の子息、カール=ハインツ・カイテルSS少佐が連隊を率い、
「カイテル戦闘団」としてアメリカ軍に降伏するという初めて知る話が出てきました。
この騎兵師団の章では、ハンガリーのホルティ提督を狙ったスコルツェニーの
「パンツァーファウスト作戦」が出てきたり、
1945年2月までの「ブダペスト包囲陣」での過酷な防御戦、
そして最後の包囲突破によるドイツ軍の壊滅的な損害が印象的でした。
このブダペスト戦はあまり詳細を知らなかったので、なおさら楽しめました。
また、「マリア・テレジア」にまつわる話・・矢車菊の襟章や女帝マリア・テレジアの
末娘がマリー・アントワネットであるなど、ヨーロッパの歴史についても、
またまた勉強したくなるようなことまで、書かれています。
これはひょっとすると、ヒムラーの策略に見事に乗っかっているのかも知れませんね。。。
非常に楽しめる一冊で、4時間ほどで一気読みしてしまいました。
第2巻(第3、第6、第18、第25、第26、第30の各SS師団)が、なかなか発売されず、
「 ドイツ武装SS師団写真史〈1〉」が発売されてしまったのは気がかりですが、
このシリーズ、ぜひ、続けて欲しいですね。
じつはこの本もチェックしてたんですが、高いしなー、レベル高そう(難しそう)だしどうしようと思っていましたが、4時間で一気読みという記述でびっくりしました。お財布に余裕がある時に、挑戦してみたいです。
友人のお祖父さんが、ヴァッフェンSSに所属していたというのをつい最近聞いて、「おお!」と思ったのですが、本人はすごく困惑というか迷惑そうにしていました。戦後のドイツでは、「ナチスイコール絶対悪」ですから。彼の話だと、老人ホームで研修してる時に、そこにいたご老人に覚えのある名前だと言われ、よくよく話を聞くと、その昔そのご老人は友人の祖父と同じ部隊に所属していたとかで、えらく懐かしがられたとか。友人はちょっと複雑な気持ちだったようです。ワタシはもっと詳しくおじいさんの事を聞きたかったのですが、ナイーブな人だし、ナイーブな内容なのであんまり詳しく聞けませんでしたが。。。
by IZM (2010-07-18 18:16)
う~ん。。友人のお祖父さんの話は凄いですねぇ。
自分も非常に興味があります。
今回の「カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS」的には、少なくとも「同じ部隊」という部隊名だけでも聞いて、「おぉ・・」となりたいですね。
本書は300ページ弱ですし、多くの写真と編成表が載っている分、本文の文字数は見た目より少ないので、読むだけならそれほど時間はかかりません。
ただ、値段は問題ですよねぇ。こんなブログを書いている以上、著者の方に少しでも貢献するためにもちゃんと買いたい気持ちはありますが、結局、1年待って、¥2200で古書を買いました。
「ドイツ武装SS師団写真史〈1〉」はさらに高い・・。読みたいけど、順番待ちの本をやっつけながら、安く買えるのを虎視眈々と狙っています。
by ヴィトゲンシュタイン (2010-07-18 19:09)
私も第2次世界大戦物は読んでいるので感想を楽しませて貰いました。
SS師団シリーズに誤解があるようなのでおせっかいですが、コメントを
当シリーズの売れ行きが悪かったので、第2巻は写真集に衣替えして発売になっています。
なので「 ドイツ武装SS師団写真史〈1〉」が本シリーズの2巻に該当します。
ちょっと高値ですが、是非、ご購入ください。(筆者曰く、背水の布陣で写真集の売れ行きも悪ければ、もう続巻は無いとの事)
筆者のサイト「ラストオブ・カンプフグルッペ」の掲示板ににその経緯が書かれています
by ヤス (2010-07-28 23:05)
ど~も。ヤスさん。情報ありがとうございます。
教えていただいた経緯なども確認しました。
その結果、「このシリーズ、ぜひ、続けて欲しいですね」と書いている手前、男として「買うべし!」ということで、本日、キッチリと購入しました。
まぁ、高橋さんは「3冊くらいまとめ買いして・・」と書かれていましたが、さすがに泥酔でもしていないと、それは難しいですね・・。
by ヴィトゲンシュタイン (2010-07-30 19:23)
ヴィトゲンシュタインさん、お久しぶりです。
ドイツ武装SS師団写真史〈2)が販売になりました。
また、高橋さんのサイトに裏話満載です。
3巻は6個師団編成だそうですが、ひとえに2巻の販売に掛かっているそうです。
by ヤス (2011-02-15 23:26)
ど~も。ヤスさん。
ヴィトゲンシュタインはすでに購入済みですので、ご安心を・・。
ですが今、大作に取り掛かっている中なので、来月以降までガマンです。
それに、ココのショボいレビューが売り上げに悪影響及ぼしても困るしなぁ。。
by ヴィトゲンシュタイン (2011-02-16 08:24)