ヒットラーと鉄十字章 [軍装/勲章]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
後藤 譲治 著の「ヒットラーと鉄十字章」を読破しました。
著者の「おわりに」では「ヒットラー・デザイナー説の書である」と書かれているように、
美術家を目指していたヒトラーが、そのナチ党党首として、第三帝国の総統として制定した
各種の勲章/徽章のデザインや、それらのヒトラーの関与を検証したものです。

まずは赤白黒のナチ党旗のデザインについてです。
これはヒトラーによるデザインとされていて、一見してそれとわかる
優れたデザインだとしています。
また、ヒトラー自身がシンボルや映像などの民衆に対する効果を良く理解していたことから、
自身のイメージについても、逆に勲章で飾り立てることをせず、
「党員章」と第一次大戦時の「1級鉄十字章」、「黒色戦傷章」を誇りを持って
付けていたとしています。

1923年の失敗に終わった「ミュンヘン一揆」を記念した、通称「血の勲章」は、
ヒトラーが右胸に着用している写真を掲載して、その着用方法なども解説しています。

続いては、ヒトラーがデザイン、または関与したとされる勲章類です。
この「独破戦線」でも紹介したことのある「母親名誉十字章」と
ほとんど知らなかったナチ党の最高勲章である「ドイツ勲章」の紹介です。
ヒトラー渾身のデザインともされる「ドイツ勲章」は正式には「大ドイツ帝国ドイツ勲章」というそうで、
等級も1~3級まで存在したものの、わずか10人しか授与されず、
そのうち6人は死後であったことから、別名「死の勲章」とも呼ばれたそうです。
栄えある第1号の受賞者は、飛行機が墜落した軍需大臣フリッツ・トートで、
2番目がチェコで暗殺されたハイドリヒとなっています。
いずれも死後ですから、彼らがコレを着用している写真はあるわけないですね。

国防軍の軍服の右胸、SS隊員の場合は袖に刺繍されている
国家鷲章「ライヒスアドラー」がシュペーアのデザインである、という話や、
結構有名な「SAスポーツ章」が実はSA(突撃隊)は
表向きは「スポーツ団体」であったためという面白い話も紹介され、
著者の大のお気に入りであるらしい「ドイツ馬術徽章」について、
そのデザインの美しさやカギ十字が入っていない点などを挙げています。
これはヘルマン・フェーゲラインも付けていた写真を見たことがあったような・・。

逆に「SSスポーツ章」と呼ばれる「ドイツルーン優秀章」は初めて見ました。。。
SS隊員に限定した体力検定章ですが、銀章と銅章のみであるそうです。

う~ん、しかしなぜ金章はないんでしょうか?
ひょっとしてヒムラー自らが受章するために制定しなかったのかも・・。

党大会の記念バッジや労働記念バッジなどの紹介後、いよいよ「鉄十字章」です。
まずは第一次大戦時の「プール・ル・メリット章」についてゲーリングや
ロンメルらが受章したことなども解説し、歴史ある鉄十字章2級、1級がそれぞれ
250万個、30万個と乱発されたことや、女性では2級を39名が受章したということです。

「騎士十字章」は第三帝国における制定であり、ヒトラーのアイデアと
おそらくゲッベルスが一枚かんでいたと推測していますが、
「柏葉」、「剣」、「ダイヤモンド」、「黄金ダイヤモンド」と詳しく解説しています。
最初の受章者も「柏葉」がディートル、「剣」をガーランドとシッカリ書かれ、
「ダイヤモンド」ではマルセイユの凄さと、唯一の「黄金ダイヤモンド」受章者ルーデルにも
それなりに触れて、彼らの写真も載せています。

国家元帥ゲーリングだけが受章した「大十字鉄十字章」や
やや地味ながらも第一次大戦で受章した軍人が再度受章した場合に着用する
2級、1級の「鉄十字副章」も詳しく書かれています。
ゲーリングはアメリカ軍に投降した際にも「大十字鉄十字章」を着用していましたが、
今やこの唯一の「大鉄十字」は行方不明だそうです。

それにしても疑問なのは、第一次大戦後に廃止された「プール・ル・メリット章」を
ヒトラーはなぜ復活させず、新たに「騎士十字章」を制定したのかということです。
これについては本書以外でも書かれたものを読んだことがありません。
憶測ですが、第一次大戦の「プール・ル・メリット章」は
確か将校以上に限定されていたことが原因かも知れませんね。
「騎士十字章」は受章資格に階級は関係ありませんから・・。

最後は伝統ある「大十字鉄十字星章」の第三帝国版原型(プロトタイプ)が
戦後のオーストリアで発見され、現在、アメリカのウェスト・ポイントに保存されているようです。
これもまったく知りませんでしたが、ドイツが勝利した暁には、
誰かが受章したのかもしれません。それを想像するのも一興ですね。

小型で140ページほどの本書はカラー写真も巻頭の2ページのみ、というのが残念ですが、
なかなか面白い観点からヒトラーと勲章を整理しています。
ちょっと説明の重複があったりもしますが、この値段(定価1200円)なら
満足のいくものだと思います。
ちなみに神保町の古書店で偶然見つけて、定価より安く買いましたが、
amazonでは凄い値段が付いている本ですね。実はレア本なのかも・・。
しかしできれば洋書で良くある、オールカラーの強烈な勲章/徽章本のようなものを
どこかで出して欲しいと切実に思う今日この頃です。。
後藤 譲治 著の「ヒットラーと鉄十字章」を読破しました。
著者の「おわりに」では「ヒットラー・デザイナー説の書である」と書かれているように、
美術家を目指していたヒトラーが、そのナチ党党首として、第三帝国の総統として制定した
各種の勲章/徽章のデザインや、それらのヒトラーの関与を検証したものです。
まずは赤白黒のナチ党旗のデザインについてです。
これはヒトラーによるデザインとされていて、一見してそれとわかる
優れたデザインだとしています。
また、ヒトラー自身がシンボルや映像などの民衆に対する効果を良く理解していたことから、
自身のイメージについても、逆に勲章で飾り立てることをせず、
「党員章」と第一次大戦時の「1級鉄十字章」、「黒色戦傷章」を誇りを持って
付けていたとしています。

1923年の失敗に終わった「ミュンヘン一揆」を記念した、通称「血の勲章」は、
ヒトラーが右胸に着用している写真を掲載して、その着用方法なども解説しています。

続いては、ヒトラーがデザイン、または関与したとされる勲章類です。
この「独破戦線」でも紹介したことのある「母親名誉十字章」と
ほとんど知らなかったナチ党の最高勲章である「ドイツ勲章」の紹介です。
ヒトラー渾身のデザインともされる「ドイツ勲章」は正式には「大ドイツ帝国ドイツ勲章」というそうで、
等級も1~3級まで存在したものの、わずか10人しか授与されず、
そのうち6人は死後であったことから、別名「死の勲章」とも呼ばれたそうです。
栄えある第1号の受賞者は、飛行機が墜落した軍需大臣フリッツ・トートで、
2番目がチェコで暗殺されたハイドリヒとなっています。
いずれも死後ですから、彼らがコレを着用している写真はあるわけないですね。

国防軍の軍服の右胸、SS隊員の場合は袖に刺繍されている
国家鷲章「ライヒスアドラー」がシュペーアのデザインである、という話や、
結構有名な「SAスポーツ章」が実はSA(突撃隊)は
表向きは「スポーツ団体」であったためという面白い話も紹介され、
著者の大のお気に入りであるらしい「ドイツ馬術徽章」について、
そのデザインの美しさやカギ十字が入っていない点などを挙げています。
これはヘルマン・フェーゲラインも付けていた写真を見たことがあったような・・。
逆に「SSスポーツ章」と呼ばれる「ドイツルーン優秀章」は初めて見ました。。。
SS隊員に限定した体力検定章ですが、銀章と銅章のみであるそうです。

う~ん、しかしなぜ金章はないんでしょうか?
ひょっとしてヒムラー自らが受章するために制定しなかったのかも・・。

党大会の記念バッジや労働記念バッジなどの紹介後、いよいよ「鉄十字章」です。
まずは第一次大戦時の「プール・ル・メリット章」についてゲーリングや
ロンメルらが受章したことなども解説し、歴史ある鉄十字章2級、1級がそれぞれ
250万個、30万個と乱発されたことや、女性では2級を39名が受章したということです。

「騎士十字章」は第三帝国における制定であり、ヒトラーのアイデアと
おそらくゲッベルスが一枚かんでいたと推測していますが、
「柏葉」、「剣」、「ダイヤモンド」、「黄金ダイヤモンド」と詳しく解説しています。
最初の受章者も「柏葉」がディートル、「剣」をガーランドとシッカリ書かれ、
「ダイヤモンド」ではマルセイユの凄さと、唯一の「黄金ダイヤモンド」受章者ルーデルにも
それなりに触れて、彼らの写真も載せています。

国家元帥ゲーリングだけが受章した「大十字鉄十字章」や
やや地味ながらも第一次大戦で受章した軍人が再度受章した場合に着用する
2級、1級の「鉄十字副章」も詳しく書かれています。
ゲーリングはアメリカ軍に投降した際にも「大十字鉄十字章」を着用していましたが、
今やこの唯一の「大鉄十字」は行方不明だそうです。

それにしても疑問なのは、第一次大戦後に廃止された「プール・ル・メリット章」を
ヒトラーはなぜ復活させず、新たに「騎士十字章」を制定したのかということです。
これについては本書以外でも書かれたものを読んだことがありません。
憶測ですが、第一次大戦の「プール・ル・メリット章」は
確か将校以上に限定されていたことが原因かも知れませんね。
「騎士十字章」は受章資格に階級は関係ありませんから・・。

最後は伝統ある「大十字鉄十字星章」の第三帝国版原型(プロトタイプ)が
戦後のオーストリアで発見され、現在、アメリカのウェスト・ポイントに保存されているようです。
これもまったく知りませんでしたが、ドイツが勝利した暁には、
誰かが受章したのかもしれません。それを想像するのも一興ですね。

小型で140ページほどの本書はカラー写真も巻頭の2ページのみ、というのが残念ですが、
なかなか面白い観点からヒトラーと勲章を整理しています。
ちょっと説明の重複があったりもしますが、この値段(定価1200円)なら
満足のいくものだと思います。
ちなみに神保町の古書店で偶然見つけて、定価より安く買いましたが、
amazonでは凄い値段が付いている本ですね。実はレア本なのかも・・。
しかしできれば洋書で良くある、オールカラーの強烈な勲章/徽章本のようなものを
どこかで出して欲しいと切実に思う今日この頃です。。
1.
青き花咲(はなさ)く大地
気高(けだか)きわが故郷よ
響(ひび)け 歓喜(かんき)の歌
神の加護(かご)は われらとともにあり続けん
ガーレ=ガミロン*1
讃(たた)えよ 祖国の勝利を
2.
気高(けだか)きは勝利の意志
示せ 遍(あまね)く宇宙に
理想 貫(つらぬ)く愛
神の加護(かご)は われらとともにあり続けん
ガーレ=フェゼロン*2
誇りある鋼(はがね)の国家
*1ガーレ=ガミロン:ガミラス萬歳(ばんざい) 「ガミラス」が「ガミロン」となっているのは、格変化(かくへんか)によるものだろう。英語は、格変化が基本的にないが、人称代名詞だと、I my meなどと、主格、所有格、目的格で変化するようなもの。
*2ガーレ=フェゼロン:総統萬歳(そうとうばんざい) 「フェゼロン」は、ドイツ語の「総統」であるFührer(フューラー)に由来(ゆらい)するようだ。
by 名古屋特殊鋼ユダヤ同盟を粉砕せよ (2016-07-19 21:38)