雪の中の軍曹 [イタリア]
ど~も。ヴィトゲンシュタインです。
マリオ リゴーニ・ステルン著の「雪の中の軍曹」を読破しました。
3年ほど前でしょうか。なにかの書評で本書を知り、
古書で安く見つけて購入していました。
スターリングラードにおけるロシア軍の大攻勢の前に崩壊し、
敗走するイタリア軍の軍曹の物語で、その徒歩での悲惨な行軍の末、
倒れて行く上官や部下たち、そして、いつ終わるとも知れない包囲陣から脱出行を
当時21歳の軍曹だった著者が日記をもとに本書を書き上げました。
1942年の冬、ドン河の河畔に拠点を置くイタリア軍の様子から語られます。
対岸にはロシア軍・・。たまに散発的な撃ち合いがあるものの、
基本的には暖かい塹壕での単調な生活、同郷人で構成されたイタリア山岳中隊ごとの
個性や、彼らの戦争に対する考えなどが理解出来ます。
とにもかくにも「国に帰りたい」彼らは、帰ったら何をするかを語り合います。
ほぼ全員、ワインとパスタをたらふく食べたいという希望を持っていますが、
戦場での生活の長さからか「俺はパスタを"飯盒"で3杯は食うぞ!」とつい言ってしまいます。
年も明け、1月の初旬になると、どうやらロシア軍に包囲されているらしい・・という
情報が届きはじめます。本書ではドイツ第6軍の話などは一切触れられず、
同盟軍といえども、最前線での情報は限られたものしかなかったのでしょう。
やがて対岸のロシア軍歩兵は「ウラー!」の掛け声とともに、凍ったドン河を渡って
突撃してきます。いつもの如く狙い撃ちされバタバタと倒れるロシア兵ですが、
なかには死んだフリを得意とし、しばらく倒れていては突然起き上がって突撃を
三度も四度も繰り返すという、まるで「だるまさんが転んだ」的戦術を駆使する兵士も登場。。
ついに退却命令が下され、分解した重火器も担いでの長い長い行軍が始まります。
ドイツ軍目線で見れば、イタリア軍のやる気のなさは良く言われているとおりですが、
著者からすると、ハンガリー軍は武器も持たず、まったくやる気がない・・という感想です。
この包囲陣からの撤退ではドイツ軍戦車と連携した戦闘も所々出てきますが、
メインとなるのは零下30℃にもなる雪の降り積もったステップをひたすら歩き続け、
農家を見つけてはお邪魔する・・という展開に終始します。
このようなロシアの農家に入るにしても慎重なドイツ兵は、まずドアを一蹴りして開け、
中の様子を懐中電灯で伺って、藁の山があれば、そのに数発の銃弾を撃ち込みますが、
彼らイタリア兵はまるで友人宅を訪ねる感じで、ホイホイ入って行きます。
案の定、空腹で疲労困憊したリゴーニ軍曹は一軒の農家に入り込むと、
そこにはロシア人の母子と、食卓には数人のロシア兵が・・。
疲労のためか恐怖すら感じない彼は「食べ物をください・・」。
ロシア兵たちが身じろぎもせずに黙って見つめるなか、差し出された粥をひたすら食べ、
「スパシーバ・・」と礼を言って立ち去るリゴーニ軍曹・・。
なんとか包囲陣からの脱出に成功し、はぐれていた部隊と合流しますが、
大佐をはじめ、中尉や若い仲間たちの多くの死を知らされます。
この物語はここで幕をおろしますが、彼自身は更にウクライナ、白ロシアからポーランドまで
延々と歩き続けたそうです。
なにかストーリーとしては「忘れられた兵士」を彷彿とさせますが、
こちらは非常に淡々と感情を抑えた語り口で、この悲惨な敗走劇を
詩的ともいえるような雰囲気に仕上げています。
200ページ程度の本書ですが、国際的な評価は高く、フランスでは
「イタリアのヘミングウェイ」ともされているそうで、
今、amazonで見てみたら、¥8000~という信じられない高値が付いていました。
自分はどこで買ったかはすっかり忘れてしまいましたが、
我が家の「本の家計簿」によると、¥1200です。なんなんですかね~。
マリオ リゴーニ・ステルン著の「雪の中の軍曹」を読破しました。
3年ほど前でしょうか。なにかの書評で本書を知り、
古書で安く見つけて購入していました。
スターリングラードにおけるロシア軍の大攻勢の前に崩壊し、
敗走するイタリア軍の軍曹の物語で、その徒歩での悲惨な行軍の末、
倒れて行く上官や部下たち、そして、いつ終わるとも知れない包囲陣から脱出行を
当時21歳の軍曹だった著者が日記をもとに本書を書き上げました。
1942年の冬、ドン河の河畔に拠点を置くイタリア軍の様子から語られます。
対岸にはロシア軍・・。たまに散発的な撃ち合いがあるものの、
基本的には暖かい塹壕での単調な生活、同郷人で構成されたイタリア山岳中隊ごとの
個性や、彼らの戦争に対する考えなどが理解出来ます。
とにもかくにも「国に帰りたい」彼らは、帰ったら何をするかを語り合います。
ほぼ全員、ワインとパスタをたらふく食べたいという希望を持っていますが、
戦場での生活の長さからか「俺はパスタを"飯盒"で3杯は食うぞ!」とつい言ってしまいます。
年も明け、1月の初旬になると、どうやらロシア軍に包囲されているらしい・・という
情報が届きはじめます。本書ではドイツ第6軍の話などは一切触れられず、
同盟軍といえども、最前線での情報は限られたものしかなかったのでしょう。
やがて対岸のロシア軍歩兵は「ウラー!」の掛け声とともに、凍ったドン河を渡って
突撃してきます。いつもの如く狙い撃ちされバタバタと倒れるロシア兵ですが、
なかには死んだフリを得意とし、しばらく倒れていては突然起き上がって突撃を
三度も四度も繰り返すという、まるで「だるまさんが転んだ」的戦術を駆使する兵士も登場。。
ついに退却命令が下され、分解した重火器も担いでの長い長い行軍が始まります。
ドイツ軍目線で見れば、イタリア軍のやる気のなさは良く言われているとおりですが、
著者からすると、ハンガリー軍は武器も持たず、まったくやる気がない・・という感想です。
この包囲陣からの撤退ではドイツ軍戦車と連携した戦闘も所々出てきますが、
メインとなるのは零下30℃にもなる雪の降り積もったステップをひたすら歩き続け、
農家を見つけてはお邪魔する・・という展開に終始します。
このようなロシアの農家に入るにしても慎重なドイツ兵は、まずドアを一蹴りして開け、
中の様子を懐中電灯で伺って、藁の山があれば、そのに数発の銃弾を撃ち込みますが、
彼らイタリア兵はまるで友人宅を訪ねる感じで、ホイホイ入って行きます。
案の定、空腹で疲労困憊したリゴーニ軍曹は一軒の農家に入り込むと、
そこにはロシア人の母子と、食卓には数人のロシア兵が・・。
疲労のためか恐怖すら感じない彼は「食べ物をください・・」。
ロシア兵たちが身じろぎもせずに黙って見つめるなか、差し出された粥をひたすら食べ、
「スパシーバ・・」と礼を言って立ち去るリゴーニ軍曹・・。
なんとか包囲陣からの脱出に成功し、はぐれていた部隊と合流しますが、
大佐をはじめ、中尉や若い仲間たちの多くの死を知らされます。
この物語はここで幕をおろしますが、彼自身は更にウクライナ、白ロシアからポーランドまで
延々と歩き続けたそうです。
なにかストーリーとしては「忘れられた兵士」を彷彿とさせますが、
こちらは非常に淡々と感情を抑えた語り口で、この悲惨な敗走劇を
詩的ともいえるような雰囲気に仕上げています。
200ページ程度の本書ですが、国際的な評価は高く、フランスでは
「イタリアのヘミングウェイ」ともされているそうで、
今、amazonで見てみたら、¥8000~という信じられない高値が付いていました。
自分はどこで買ったかはすっかり忘れてしまいましたが、
我が家の「本の家計簿」によると、¥1200です。なんなんですかね~。
自分はAMAZONで3200円だったですかね、どっかの図書館の払い下げ。(笑)
by アナベル・加トー少佐 (2010-07-02 00:46)