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巡洋艦インディアナポリス号の惨劇 [USA]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ダグ・スタントン著の「巡洋艦インディアナポリス号の惨劇 」を読破しました。

独破戦線における初の太平洋戦争ものです。
とは言っても、おそらくは、暫くは、ひょっとしたら最初で最後かも知れません。

インディアナポリス.JPG

太平洋戦争末期、原爆部品を積んだアメリカ巡洋艦インディアナポリスは
橋本艦長の伊58潜水艦の魚雷2本を受け、瞬く間に沈没。
乗組員1200名のうち、300名は艦と共にし、900名は海へ投げ出されます。
油まみれの海面を艦長のマクヴェイ大佐を含む、重度のやけどや骨折を負った者たちが
十分な救命具もないまま漂い、やがて数百匹におよぶイタチザメの襲来という
壮絶なサバイバルが繰り広げられます。

橋本以行 伊58潜.jpg

実はこの話、少年時代から知っていまして、昔々ロードショーで観たスピルバーグの
名作「ジョーズ」の中でロバート・ショウ演じるヘスラー大佐・・じゃなくて
クイント船長が、反目しあっていた警察署長のロイ・シャイダーと
海洋学者のリチャード・ドレイファスとの傷自慢合戦を経て、心通わせる・・
というシーンで語られます。当時は映画のなかのお話のひとつと思っていましたが、
大人になってから実際にあったことだと知りました。

Robert_Shaw_as_Quint_'Jaws'.jpg

この「ジョーズ」という映画は、いたいけな少年の心に
サメと海の恐怖を見事に植付けてくれた映画でして、
間違えて海なんかへ泳ぎに行ってしまった際に、足に小魚が当たったり、
「ダンダン、ダンダンダンダン・・」などと、有名なジョン・ウィリアムズ作曲のテーマを
隣でやられたりすると、みっともないほど簡単にパニくってしまいます・・。

USS Indianapolis.jpg

このような過去を持つ人間として、このような本を素通りするわけにはいきません。
そしてその内容は、救助までの5日間で約3分の2が死亡するという凄惨なものですが
実際にサメによる被害者は200名ほど(充分多いですが・・)だったようです。

個々のサメに対する戦いや無残な敗北の様子もイヤと言うほど出てきますが、
それよりも飢えと乾き、低体温症などによる幻覚、錯乱、凶暴化という
漂流中に限界を向かえた人間の恐るべき行動がより印象に残りました。

海水を飲もうとする20歳そこそこの水兵たちを励まし、なだめ続ける下士官や
従軍神父の精神が突然崩壊して死んで行く・・。という場面の連続は、
早い話が、サメに食い殺されるより、ある意味壮絶だということです。
これはなかなかここで書ける内容ではありませんので、ぜひ読んでみてください。

Charles Butler McVay III.jpg

艦長のマクヴェイ大佐は撃沈の前にいわゆるジグザグ行動をとっていなかったとして
軍事裁判により有罪判決を受け、23年後に自殺を遂げます。
インディアナポリス号の生き残りたちはそんな艦長の名誉回復を図るというのも
この本の重要なテーマとなっています。

また、ドキュメンタリー番組として放送されたこともあります。
DVDで発売もされているようです。




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コメント 2

グライフ

初めまして、私も独軍戦記が好きで読んでます。
これからもお邪魔させてください。
by グライフ (2009-08-30 20:11) 

ヴィトゲンシュタイン

グライフさん、こんばんわ。
いくらでも邪魔してくださいね。
出来ればお気に入りの独軍戦記を教えてください。
by ヴィトゲンシュタイン (2009-08-30 21:25) 

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