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燃える東部戦線 -独ソ戦の全貌- [ロシア]

ど~も。ヴィトゲンシュタインです。

ハリソン・E・ソールズベリー著の「燃える東部戦線」を読破しました。

副題の通りの独ソ戦についてをソヴィエト/ロシア側からの視点でまとめたもので、
著者は1944年当時のUP通信のモスクワ支局長を務めていたソールズベリーです。
ソヴィエト側からの視点といってもジャーナリストによる客観的なものであるため、
スターリンはもとより、ヒトラーを含むドイツ軍も誰一人として好意的には書かれていません。
それはルーズベルトやチャーチルにしても同様です。

燃える東部戦線.JPG

ドイツ軍は単なる「敵」として存在しているだけで、その「敵」になすすべなく蹂躙され、
持ちこたえ、反撃するソ連軍という、東部戦線の大局的な戦記として進んで行きます。
バルバロッサ作戦からモスクワ周辺での攻防、レニングラード、ハリコフと続き
スターリングラードからクルスクの戦い、ベルリンへと、更には日本まで・・。
スターリンを中心に軍または軍集団(方面軍)レベルでの戦闘の経緯が述べられており、
第2次大戦におけるソヴィエト/ロシア軍の戦い、主要人物、体制を知るには
入門書とも言えそうです。

Georgy Zhukov.JPG

この本の主役をあえて挙げるとすればジューコフ元帥です。
ほとんどの戦場にスターリンの火消し役として登場してきます。
悪名高いトハチェフスキー元帥などの大粛清を経て、この大祖国戦争を戦うなかで、
その時点では、スターリンが最も(唯一?)信頼した将軍であるように感じます。

Super zhukovman.jpg

ドイツ軍で言えば、ゼップ・ディートリッヒがマンシュタインの戦術論を持っていたら・・とか、
ルントシュテットが生粋の古参ナチ党員の武装SS大将だったら・・
などという、とんでもない妄想をしてしまいます。
もし、ヒトラーの政治的/軍事的戦略を理解し、それを実行する能力と
絶対的信頼を得るような将軍が1人でもいたなら、果たしてどうなったのでしょうか・・。

ドイツ軍によるレニングラードの包囲の詳細についてはあまり知られていませんが
そのぶん、この本では特別印象に残ります。
ドイツ第6軍が包囲されたスターリングラードの様子は
様々な本や映画でうかがい知ることはできますが、
2年半もの間、包囲されていたレニングラードの極限状態は恐るべきものです。
軍人たちの戦いというよりも、百万人以上の一般市民が
飢餓をいかに耐え、生き延びたかは非常に興味深く、
同じ著者による「攻防900日」は、この戦史について詳細に書かれているそうで、
ぜひ読破したくなりました。



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